無限2

「私相手では本気になれないというなら、自分から組み手に誘ったりするなよ」
「んにゃ、怪我の功名って奴さ、後で治療してもらうさ、カミュにね。」
軽くウィンクして、ミロはカミュの顔を伺い見る。
ミロは視線を移動させ、暇そうに眺めているシュラとデスマスクにターゲットを
絞った。
「どっちでもいいや、俺に組み手付き合ってよ」
そう言って、ミロは不敵な笑みを漏らす。
シュラとデスマスクは顔を見合わせると、おもむろにじゃんけんを始めだす。
パーを出したシュラに、デスマスクはチョキを振り振り、
「ご指名よ、いってらっさい。」
と、シュラをからかい送りだした。
「ちぇッ、貧乏クジだ」
ブツブツと文句を言いながら、身体を軽くほぐすように首を左右に振り、シュラは
コロッセオの場内に降りて行く。
先ほどのカミュとの組み手には見られなかった闘志が、ミロの全身から漲っていた。
「・・・マジ?」
シュラはやや、呆れ気味に息を漏らすと、ゆったりと身構える。
「寸止めだけど、手加減はなしだぜ」
ミロの言葉に、シュラも不敵な笑みを漏らした。
「どこからでも、どうぞ。」
その彼の言葉を合図にしたように、ミロの拳が唸りを上げ、シュラの顔面を捕らえる。
が、首を軽く右に傾け、それをかわすとシュラは口端を上げ、微笑む。
「甘いな、脇がガラ空きだぜ」
身体を屈め、シュラは下方からミロの身体の脇を狙って拳を繰り出す。
だが、ミロとて黄金聖闘士、そうそう簡単に攻撃を決めさせては名折れというもの。
そのシュラの拳をバック転でかわしながら微笑する。
「甘いのは、そっちだろ!」
ミロはシュラを挑発して、彼の冷静な判断を崩そうとする。
が、シュラがそんなミロの手に乗るはずもなく、次々と急所にあたるミロの身体の部分に
拳を繰り出してきた。
それを全て避けながら、ミロは攻撃の機を伺う。
「さっきと全然違うじゃないか、ミロの奴」