無限10

シュラのその言葉を聞いて、フェリスはギョッとする。
「み、水浴びって・・・水着、持ってきてないじゃん・・・」
「裸に決まってるだろ!」
明るく笑いながら、シュラはさっさと、着ていたタンクトップとジーンズを
脱ぎに掛かる。
それを、フェリスに放って寄越し、最後に残った彼の派手な柄のトランクスが
フェリスの頭上にパサリ、と降ってくる頃には、彼は水に飛び込んでいた。
フェリスは紅葉した顔で眉根を寄せると、頭の上にあった物を指で摘み上げた。
「つったく、何考えてんのよ・・・。」
ブツブツと文句を口にしながら、彼女は彼の衣類と下着をたたみ始める。
その間も、バシャバシャと気持ち良さそうな水音が響き、フェリスはやや不機嫌
気味になっていくのに、彼をジロッと見据える。
彼は2m程の岩だなになっている水流の場所まで来ると、立ち上がり、その流れに
頭を突っ込み、水を被る。
しばらく、その水流に頭を浸してから、首を起こし、頭を振って雫を祓い落とした。
彼のそんな後ろ姿が眼に止ると、フェリスは思わずシュラのその鍛え上げられた
無駄の無い身体に見惚れてしまいぼ〜っとしてしまう。
あの身体に抱きしめられて、耳元で愛の言葉を囁かれると、まるで炉に放り込まれた
チーズのように蕩けてしまう自分がいた。
ハッ、と我に返り、フェリスはそんな夢想を打ち消すように、まるで空中を雑巾がけする
ように手を振った。
そんな彼女のボディアクションを、シュラは首越しに見、首をもとに戻して傾げる。
まさか、自分との睦事を想像して、彼女が泡を食っているなどとは思いつくはずもなく。
彼女が待っている水辺のほとりまで戻って来ると、シュラはフェリスに声を掛ける。
「フェリス、気持ちいいから一緒に入らないか?」
「嫌よ! 貴方はよくったって、私はひとに見られたら困るわ。」
赤面しつつ、抵抗する彼女にシュラは水辺の草地に上半身を乗せ、顔の下に両腕を
組置きながら、くすくす笑う。
「じゃあ、足だけでも浸ければ? 暑いだろ?」
そう、誘われ、彼女は足だけなら・・・と、思い、腰を上げた。彼の横に座り、
濡れないように長衣の裾を捲り上げ、両足を水に浸ける。
ひやり、とした水の感触が彼女を刺激する。