『 花一輪 ・・・その後の話。・・・ 』
夜の刻も深まり、深夜に差し掛かる、半時間前。
やっとの思いで、興奮の冷めやらない子供達をベッドに押し込んだ大人たちは、疲労の色を隠せない。
漸く得た、落ち着きを取り戻し、就寝の準備に入ろうとした、刹那。
突如、降って沸いた議題が、これまた貴重な睡眠時間を削ろうとしていた。
部屋割り問題だ。
ラクスは、にこやかな笑みで、素直に言葉する。
「今夜は、アスランはキラと一緒のお部屋を使ってくださいね。」
「・・・あ、・・・はい。」
素直に返事をしたまでは良かった。
が、その意見に、普通に当たり前の事と思って、言葉を漏らしたのは、なんとカガリだった。
「あれ? 私とアスラン、同じ部屋じゃないのか?」
何気に洩らした彼女の言葉は、瞬間冷凍で場を凍りつかせる。
既に、アスランとは一線を越え、とうの昔に、男と女の関係になる道を踏んでる彼女は、なにも
疑った表情をしていない。
「な、なにを云ってるんですかッ! カガリさんッ! アスランと同室なんかになったら、喰われてしまいますわ!」
ラクスは、必死の形相で、自分の隣に佇んでいたカガリの両肩を掴んで揺さぶった。
「喰われる?」
なんのことだか、訳がわからない、という表情で、カガリは小首を傾げる。
「アスランと一緒の部屋にしたら、狼の皮を被った狼に、カガリさんが喰われてしまいますッ!」
くどいくらい、同じ台詞を吐かれ、アスランはげんなりする。
言い返す元気もなく、顔は暗く翳った。
『・・・』
ラクス以外の、佇んでいた三人は、言葉を失った。
妙な、静けさは、まるで水を打ったよう。
シーンとした、通路で繰広げられる、一方的な口論に、キラが静かに沈黙を破る。
「・・・ねえ、ラクス? さっきの言葉の意味尻、ちょっと、なにか違わない?」
眉根を寄せ、今度はキラが首を傾げる番だ。
「なにがですか? キラ。」
「だから、アスランが狼、うんぬんの話。」
「今の、アスランの顔を見て、狼以外のなにを連想しろと?」
祭り上げられている、当の本人は、いい迷惑のなにものでもない。
しかし、下手に口を割ったら、ラクスの迫力ある話し方に、簡単にやっつけられそうで、情けない話だが
尻込みしている。
内心でだが。
そして、自分の顔は、そんなに、カガリを今にも、襲いそうな顔をしているのかと、ある意味、ショックも
受けていた。
仮に部屋を同室にされたって、ちゃんとした理性くらいは持っているつもりだ。
アスランは、心のなかで叫び返していた。
もっとも、理性が勝つかどうかは、保障しかねるが・・・ という注訳つきだが。
万が一にも、ベッドふたつで、部屋を貸し出されても、潜り込まれでもしたら、・・・この場合、双方を仮定して、
ちょっと手をださない自信は、正直なかった。
なんか、宙ぶらりんで情けない、と思いながら、アスランは軽い挙手をする。
早く、この案件にカタをつけて、ゆっくり眠りたい。
「俺は、キラと同じ部屋で問題ありませんから。」
「そうですわね? 子供たちが居る、同じ屋根の下で、不埒なことに及ばれては、言い訳ができませんもの。」
「・・・ラクス?」
「はい?」
にっこりと、微笑み返し、アスランの呼びかけに返事をする、歌姫の顔。
笑っていても、真からの笑みではない微笑みに、背中に氷でも落とされたような・・・ そんな気分が、アスラン
の心中を支配する。
「なんか、さっきから、俺にだけ、少々手厳しいような言葉がでるのは、気のせいでしょうか?」
「ええ、気のせい、ですわ。 では、殿方は、そちらの部屋を。 わたくしと、カガリさんは、あちらの部屋で
寝ることにいたしますわ。」
「え!? ちょ、ちょっと! ラ、ラクスッ!」
ぐいぐいと、強引にカガリの肩を背後から押し、ラクスは奥の部屋へと、カガリを連れ去ってしまった。
ぽつり、とまたもや男ふたりが、通路に取り残される。
なんか、今日は置いてけぼりばかりだ。
「ねえ、アスラン?」
「ん?」
「君さ〜 ラクスになにかしたの?」
「身に覚えはないな。」
嘆息し、アスランは諦めた風体で、指示された部屋の扉を潜った。
疲れた身体を投げ出す様で、アスランは用意されていたベッドのひとつにダイブした。
「別に、ボクは、カガリとアスランが同じ部屋でも良かったんだけどね。 大体、こんな状況下で、
不謹慎な気持ちになるほど、勇気もないでしょう?」
「・・・」
疲れ過ぎて、キラの質問にも、返答する気にならない。
「それにさ、部屋も数ないから、強制的に、こんな部屋割りになっちゃったけど、ボクと一緒じゃ、
悶々してても、“自家発電”も出来ないしね〜 別に見張りのつもりはないけど、ゴメンね。」
「・・・そういう言葉は、慰めとは云わないぞ、キラ。」
「ははは! そうだね? じゃあ、電気消すよ?」
「ああ。」
緩慢に返事を返し、アスランはキラに対し、背を向け、掛け毛布を被った。
別に、疚しい気持ちがない、と云えば、嘘になる。
それでも、事に及ばなくたって、互いに抱き合って眠るくらいの甘い夢は、見てもいいだろうに。
いとも簡単に打ち破られた。
半分以上は、歌姫の謀略に引っ掛かったせいもあるけれど。
いつだって、互いに忙しくて、仕事場は当然として、屋敷に戻ろうが、なんだろうが、環境が変わったって、
周囲の目を危惧して、必要以上に意識しないよう、アスランにもカガリにも、暗黙のルールが敷かれている。
人目を憚らない環境になったのなら、思いっきり、抱きしめたい、共に眠りに落ちたい。
そんな風に考えることすら、罪なのだろうか。
アスランは、思い、悩む。
身体は、どうしようもないくらい、疲れを感じているのに、なかなか訪れない、眠り。
思考が働き過ぎて、脳が元気印で、活動停止のサインが送られてこない。
「・・・くそ。」
小さく、怨嗟の声が、アスランの横になったベッドから洩れたのを、キラはしっかり訊きとっていた。
刹那。
暗がりの室内に響く、扉をノックする音に、ふたりは身を起こした。
薄く開いた扉から滑り込んできたのは、カガリだ。
「うわっ! 真っ暗でなにも見えない。」
コーディネイターである、アスランとキラには、暗視のなかでも、動くひとの気配はちゃんと感じることができる。
「カガリ?」
「アスラン? どこに居る? 見えないんだけど・・・」
瞬間、カガリは、ベッドの脚に躓き、バランスを崩した。
だが、床に激突する寸前で、その身は、ベッドから飛び降りた、アスランの腕のなかに倒れ込んだ。
「なに、やってる!」
「なに、・・・って。 ・・・夜這い。」
「・・・それは、男が女に使う言葉だ。 というか、ラクスに見つかったら、俺がまた怒られるだろ?」
「私のために、怒られてくれ。」
はあ〜 と、柔らかく抱きしめた、彼女の肩で、アスランは大きな溜息を漏らした。
「・・・一緒が良いんだ。 お前と。 だって、屋敷じゃ、こんなことできないだろ?」
「まあ、 ・・・それは、そうだけど。」
刹那、キラが部屋をでていく気配を感じ、アスランは、慣れてきた暗闇のなかで視線をあげる。
「キラ? 何処に行くんだ?」
「居間のソファ。」
「え?」
「普段できない話もあるでしょう? それに、カガリがアスランと一緒に居たい、って自分から来たのなら、
ボクはお邪魔虫じゃない?」
「いや、 ・・・それは。」
「掛け毛布は一枚しかないから、これはボクが貰う。 カガリは、アスランのベッドで毛布、貸してもらって。」
扉の閉まる音が、小さく、ふたりの耳に届いた。
暗がりなのに、抱き合う、ふたりの顔が真っ赤に染まっているのは、火照った身体が教えてくれる。
「おいで。」
彼女の手を取り、アスランはカガリを自分の褥に誘った。
と、思った瞬間、また扉が開く。
どきん! と、ふたりの心臓が瞬時に跳ね上がる。
「云っとくけど、アスラン、部屋は空け渡しても、カガリに不謹慎行為は、今日は謹んでよね? でないと、
ラクスになにか云われても、ボクは庇えないから、ふつーに寝てよね? ふたりとも!」
「わ、わかってるよ!」
動揺著しく、アスランは再忠告に舞い戻ってきたキラに、小声で怒鳴り返す。
また、扉が閉まる。
今度は、開くな、とアスランは心のなかで、叫び、祈る。
ふたりで、ひとつのベッドに横たわり、身を寄せ合う。
アスランの胸元に顔を寄せ、カガリは幸せそうな、女の子の顔を作った。
「なあ、カガリ?」
「ん?」
「なんで、こっち、来たんだ?」
「え? ・・・やっ、別に深い意味はないんだけどな。 ・・・寒くて、あっちの部屋。」
「毛布、足りなかったの?」
「・・・そういう意味じゃ。 お前、変なトコ、ほ〜んと、鈍いよな。」
益々身を寄せ、カガリは身体を丸める。
「・・・やっぱり、ここが一番、温かい。」
呟く、カガリの声に、アスランは薄く頬を染めた。
「もう、寝よう。」
促す、彼女の声は、既に半分寝ている。
「・・・カガリ、来てくれて、ありがとう。」
「・・・う・・・ん。」
返答は、か細い、夢現の、彼女の声。
アスランは、愛おしそうに、カガリの身体を抱き寄せ、その額に唇をひとつ落とした。
「・・・おやすみ、カガリ」
彼もまた、幸せに満ちた微笑を浮べ、瞼を落とした。
さっきまで、あんなに冴えていた頭はどこに消し飛んだのか。
アスランも、深い眠りへと、誘われていったのだった。
滞在、二日目。
朝、珍しくも、ラクスの不機嫌ビームを喰らいつつ、アスランは態と素知らぬ態度を決め込む。
それは、そうだろう。
目覚めた時には、隣で寝ていた『はず』の、カガリの姿はなく、発見した場所が、昨夜、キラと
同室と決めた部屋なのだから。
キラは、と云えば、早朝の挨拶は、居間のソファからすれば、ラクスは、これは互いの許諾のもと
行われた行為として、認識するしかない。
逃げても無駄、と思ったのだろう。
アスランは、一切余計な言い訳はせず、ラクスの裁断に身を任そうと、腹を括っていた。
しかし、それの覚悟を決めた矢先、アスランとラクスの間に立ちはだかったのは、カガリだった。
「自分から、アスランの部屋に行ったんだ! アスランは、なにもしてないし、悪くもない!」
と、はっきりと言い切り、彼を庇う。
そういう展開になってしまえば、ここで怒ってしまえば、唯のヒステリー。
ラクスは、自分の分の悪さに、自然、口を噤むしかなくなる。
正直、面白くはない。
歓迎もできない。
けど、納得するしかない。
自分より、アスランを選んだ、カガリ。
やはり、どう良く解釈しても、カガリのなかの対比量は、アスランの方が若干、うえだったのが・・・
ラクスは、ほんの少し、僻んでしまう。
絆、という言葉を使えば、きっと、アスランとカガリの間には、相当の太く、頑丈なロープでも
渡りきっているのか。
そう、判断するしかなかった。
ほんの、ちょっぴり、悔しい思いに駆られ、ラクスは小さく溜息をつく。
「・・・カガリさんは、アスランのどこが、そんなに良いのですか?」
「・・・どこ? ん〜 どこって云われても、全部としか云い様がないな。」
「泣かされますわよ。・・・きっと。」
「その時は、その時にまた考えるさ。 私、楽天主義だから!」
あははは、と軽快に笑い、朝食の支度に精をだしながら、カガリはラクスを見遣った。
ラクスの感情は、娘を心配する、母親の心境に近いものがある。
カガリ曰く、それでも、どっちも大事だから。
で、完結され、ラクスはまた大きな溜息を零した。
以前からの計画で、カガリたちの訪問に合わせ、簡単なレクリエーションを子供たちを交えてやろう、
ということになっていた。
食事を済ませ、班分けをする。
子供達の数は、25人ほど。
アスランと、カガリの班は、そのうちの10人を受け持つことになる。
子供達を、海に連れ出し、郊外学習の手伝い。
そして、自炊で昼を作り、夕方戻ってくるというもの。
ラクスと、キラの班の振り分けも10人ずつ。
こちらの班は、買出しを含んだ、街見学だ。
残りは、家で、カリダの指導のもと、ケーキ作り、ということになった。
元気な声で送り出され、アスランとカガリは、子供らを引き攣れ、浜辺を過ぎた岩場の点在する場所まで
やってきた。
「よーし! 全員、整列っ! 頭から、番号!」
カガリの掛け声で、連れて来られた子供たちは、素直に命に従う。
番号の早い順、頭から五人で、再び役割分担がされる。
こういう、指導の仕方は、カガリらしい、とアスランは苦笑いする。
「それじゃ、男の子組は、アスランとここで、火を起す。 女の子たちは、飯盒を準備して、ご飯を炊いておく。」
『カガリは!?』
整列した、子供たちは、揃って同じ言葉を口にする。
「じゃーん! 私は、これで、オカズを獲るッ!!」
彼女が手にしたのは、なんと銛。
前もって、服の下に着込んだ水着を確認し、彼女は勢いよく、服を脱ぎ始める。
脱いだ衣服は、空を舞い、その舞った服を、アスランがフリスビー犬よろしく、空中でキャッチした。
三叉銛を高く手に掲げ、彼女はシュノーケルと水中眼鏡を被った。
「待ってろ、これでたらふく、海の幸、ご馳走してやるからな!」
「・・・そんな、安請け合いして大丈夫なのか?」
呆れたような、溜息交じりの、アスランの声がカガリの背後、数メートル後ろで洩れる。
手にした、カガリの服を丁寧にたたみながら、アスランは心配気な視線で訊ねた。
「なにを!馬鹿にするなッ! これでも、海に囲まれた島国オーブで育って、18年ッ! 海は友達だッ!」
高らかに吼える彼女を見、アスランは頭痛を覚えたように、額を抑えた。
「・・・漢前過ぎ、 ・・・カガリ。」
「じゃあ、炊事班! あとは、頼んだからなッ!」
云い捨て、カガリは勢い良く、海に飛び込んでいく。
『カガリーーーッ! 頑張れッ!!』
「任せとけ!」
子供達の熱視線とは真逆に、アスランは派手な溜息をつく。
「さて、それじゃ、俺たちもやろうか?」
カガリを見送った子供達を呼び寄せ、アスランは昼用にと、持ち運んできたバーベキュー用の金網を翳す。
「まずは、炉を作ろう。 大きめの石を皆で探してこよう。」
『はーい!』
子供たちの、そろった合唱の声に、アスランは終始笑顔を絶やさない。
海と、陸に別れ、作業は着々と整っていく。
約、小一時間後。
沖でなにか叫んでいるカガリを、子供のひとりが見つけ、アスランに報告しに来た。
「え!? まさか、溺れた!?」
不安を感じた、その感情は、あっさり払拭される。
子供たちが、遠くに散らばったら監視をするように、と念のために用意した双眼鏡を覗き込み、
アスランは首を傾げる。
彼が考えていた様子と、どうも違いがあるようだ。
「貸して。」
いつの間にか、アスランの横に立っていた、年の頃は10歳くらいだろうか。
カガリと同じ、明るい金髪を持った女の子が、アスランに双眼鏡を借り受けることを嘆願する。
覗き込んだ、女の子の顔は、笑顔でいっぱい。
「みんなッ! カガリが、オカズ確保したって!」
群がってきた、子供たちに、状況を説明して廻るのに、アスランは驚いて瞳を開く。
「あの子の名前は、リザ。 読唇術ができるんだ。」
別の同じ年頃の男の子が、アスランに説明をする。
「読唇術?」
「うん、リザのママは耳が不自由だったから、自然に覚えたって言ってたよ?」
「そうか。」
様々な事情で、マルキオが営む孤児院には、多くの子供たちが集まってくる。
勿論、例外なく、全ての子供が、戦争で親と死別した、子供である。
「リザのママは、耳が聞こえなかったから、オーブに連合が攻めてきた時、避難勧告をだされたのを
知るのが遅くなってしまって、死んだって云ってた。」
男の子の言葉に、アスランの胸は、痛みを感じずにはいられない。
なんと、言葉を紡げばも、彼にはわからなかった。
嘗て、自分はこの痛みを感じたことがある。
ジャスティスを受領し、戦火の痕跡を辿った時にした、過去の経験。
暗い瞳しか持って得ず、自分を見ていた子供たち。
ザフトの兵士として、かの地を訪れた時に見た、子供たちの眼。
その、子供たちの瞳は、今は、耀きに満ちている。
少しは、自分とカガリの努力は報われている、と信じてもいいのだろうか。
そんな、耽っていたアスランの思考は、子供たちの歓声で掻き消された。
「リザ! カガリ、他になにか云ってる?」
群がった、子供のひとりが、女の子に問うた。
「“獲ったどーーーッ! 昼飯、ゲットだ!喜べ”って、云ってる。」
淡々と答える、リザの口調に、アスランはまた項垂れる。
・・・やっぱり、カガリは、漢前過ぎる。
だが、そんな彼女の、逞しさも、惚れてしまえば可愛いものなのだ。
カガリの、掲げた銛の先には、勢いよく尻尾をバタつかせる、魚影が確認できた。
「すげー 銛の先で、魚、ビチビチ跳ねてるよ!」
歓声は収まらず、やんややんやと盛り上がるカガリコールに、アスランは疲れた姿態で、
その場にしゃがみ込む。
数十分後、カガリが銛を片手に、海からあがってくる。
魚を子供たちの前に披露すれば、あっと言う間に、カガリに集まる、羨望の眼差しに、
カガリは自慢気に身体を反らした。
「そんでもって、これはオマケだ!」
彼女が、もうひとつの手で引っ繰り返した、魚網からでてきたのは、アワビ、巨大な海老、
サザエや、ウニなどの海鮮。
山盛りに盛られた、それに、子供たちは大はしゃぎだ。
「・・・」
その姿を見て、アスランは思う。
もし、この世界で、カガリとふたりきりになったら、自分は決して、餓えでは死なないな・・・と。
野生児のような、逞しさ。
カガリは、子供らの、感動の瞳に晒され、また自慢気に笑った。
カガリが調達してきた食料は、直ぐに、直焼きバーベキューへと、姿を変える。
楽しく、有意義な時を過ごし、家に戻れば、またいつもの日常が戻ってきた。
「さて、明日から、また仕事だ〜 かったるい。」
文句の絶えることのない、カガリの唇に、アスランは苦笑する。
島までくる足のヘリに乗り込むまで、カガリは子供たちの輪から解放されることはなく、
「今度は、いつ来るんだ」と、質問攻めにあっていた。
ヘリが、飛び立った機内では、自然、喧騒とした空気は消え、聞こえるのは、煩いくらいの、
ローター音だけ。
「・・・また、早い時期に来れたら良いな。」
ぽつり、と洩らした、彼女の声に、アスランは、同調するように頷き返したのだった。
・・・ End ・・・
※これで、本当に終わりです。ププッ ( ̄m ̄*) なんか、先の話の
続きの光景が思い浮んだら、つい。;;