ホムラと別れてから、アスランとカガリはホテル内に付属している
中庭を散策しながら会話を楽しんでいた。
「嫌な思いさせてすまなかったな。」
カガリはアスランと並び歩きながら彼に云う。
「えっ?なにが?」
「だ、だからッ!・・・子供を作るとか、どうのこうのとか云われたこと・・・」
赤面しながら、カガリは言葉を紡ぐ。
「ああ、その事? 別に気にしてないさ。むしろ、当たり前の事、聞かれた、
って感じかな?」
「アスラン?」
「叔父さんの言う通りだと思うよ、俺は。 カガリがこの国の首長である限り、
後継者を儲けることは必要なことだろう?・・・唯、俺としては義務とかそんなんじゃ
なくて自然に出来れば良いな、て安直に考えていたから・・・正直、ちょっと驚いた。」
苦笑を浮べるアスランに、カガリは謝罪をする。
「・・・ごめん」
植え込みに沿ったベンチにふたりで腰を降ろすと、ふたりはぽつぽつと話を続けた。
「カガリが謝ることじゃないだろう?・・・コーディネイターの出生率の低下は、確かに
叔父さんが危惧する通りだと思うよ。・・・でも、こればっかりは俺にはどうしようも
ないことだし、これが遺伝子、という神の領域に踏み込んだことへの代償だというなら、
俺たちは存在してはいけない種なのかな・・・って、少し思ってしまったのもあるかな?」
苦笑を浮かべ、アスランは自嘲的な笑いを零した。
「そんな事はない!随分前だけど、まだアークエンジェルに乗艦させてもらっていた時、
キラが話してくれたんだ。・・・コーディネイターは人類の夢、そのものだったんじゃ
ないか、って。」
カガリは懸命に場を繕うように言葉を紡いだ。
「俺が幼い頃、母によく言われていた事があるんだ。」
ふと、アスランは思いに耽るように、月の浮かぶ闇空を見上げながら言葉を漏らした。
「アスラン?」
「『ほんのちょっと器が大きくなっただけなのよ』ってね。・・・それって、母なりの俺に対する
戒めだったんじゃないか、って思うんだ。自己過信をするな、奢るな、っていう」
視線をアスランに向けながらカガリは瞳を開く。
「俺だってカガリに会うまでは、ナチュラルのこと、すごく誤解してるとこだって沢山あって、
でも逆もあるわけで。 コーディネイターが万能だと思われるのは、どうかとも思うし。」
「同じ事、キラも言ってたっけ・・・そう言えば。」
「病気だって、今現存する病気とかには確かに強いかも知れないけど、この先の事は
解らないし、実際、俺もアレルギーとか持ってるし。 ・・・ああ、でもそれは両親も知らなかった
ことだったみたいだけど。」
「アレルギー?そんなの、初耳だぞ?」
「イクラと青魚食べると蕁麻疹がでる」
「マジ?」
「酷いと見ただけで痒くなることもあるからさ。」
そう言って、アスランは困った笑みを浮かべ、カガリを見た。
僅かに呆然としながらも、カガリは話の筋を訂正するように続けた。
「・・・でも、アスラン。 ひとつだけ言っておくからな。」
宣言するようにカガリは彼を見、言葉を告げた。
「私は、お前がコーディネイターだから、とか、そんな事全部抜きにして、『アスラン・ザラ』
というひとりの男が好きになったんだ。・・・唯、それだけの事なんだぞ。」
「・・・カガリ。」
ダークグリーンの双眸を見開き、アスランはカガリを見詰める。
「詰まり、細かい事、全部無視して、お前が好きになったんだ!以上。」
蒸気した顔を明後日の方に向け、カガリは声を荒げた。
くすっ、とアスランは笑うと、カガリの頬を両手で包んだ。
「顔、真っ赤なわりには冷たいな。」
言うなり、アスランは自分の着ていたコートのボタンを外し、コートごと彼女を包み込み、
胸元に抱き込む。
「ア、アスランッ!?」
慌て、もがく彼女をがっちりと両手で抑え込みながらアスランは苦笑を湛えた。
カガリとこういうシチュエーションを持てるなら、口実など彼にはなんでもいい訳である。
彼の腕の中で、暫くもがいていた身体が動きを止めると、カガリはその胸に顔を埋めた。
「・・・お前って・・・すごく良い匂いがする・・・」
「匂い?」
「・・・うん。・・・すごく安心出来る匂い。」
彼女の言う意味がちゃんと理解出来ず、アスランは首を緩く傾げた。
出掛け前にシャワーを浴びてきたことでも言っているのか?と、カガリとの思考の違いに
頭がぐるぐる廻った。
だが、追及する程の話題でもないか、とひとり合点すると、アスランは低く甘い声で
カガリの耳元に囁いた。
「今日はどうする?」
「どう、って何が?」
「だから、『送る』か、『泊まる』か、どっちかって聞いてんの。」
「へっ!?」
赤面し、慌て、カガリはアスランの腕の中から身体を起こした。
「だ、だってッ!昨日、会った時だって『した』じゃないかッ!」
「昨日は昨日、今日は今日。 当たり前の事聞くなよ。」
しれっ、と言って退けるアスランにカガリは紅葉した顔の熱さを感じながら目眩を覚えた。
「俺はカガリを抱きたい。」
「ア、アスランッ!!」
昨夜だって思い返せば、激しすぎて危うく腰砕けにされそうになった経験がカガリに動揺
を呼び込む。
若さ故の欲望は止まる事を知らない。
アスランは罪を感じさせない笑顔を漏らすと、再びカガリを抱き締めた。
「しよ・・・カガリ。」
低く、甘く、囁く声は媚薬。
それはカガリにとって、切ない程の誘惑でしかない。
微かに灯る、彼女の中での痺れた疼きが、小さく彼に応えた。
「・・・二時間、だけだぞ・・・」
「自信ないな・・・。それって。」
くすっ、と笑う微かな彼の笑い声がカガリの耳元に囁かれる。
抱き込まれた胸元の温かさにカガリは瞼を閉じる。
そして、想う・・・
この時が永遠に続けば良いと・・・。
■ END ■
☆ あとがき・・・です。
お題クリアー項目、3発目です。(o^<^)o クスッ
自分のトコで小説あげる時って、ワザと英語単語、
カタカナで書いたりするもんだから、英単語の
タイトル文のものは、実は初めてだったりします。
でも『believe』って単語は凄く良い響きですよね。
すげー好き。(^・^)Chu♪ 本文内容、なんか
えらく辛辣な内容になってしまいましたが、
ネタ的には、随分前から書いてみたい、
と考えていたモノです。
オフィシャル誌ではホムラさんは死亡のドクロマークが
付いておりましたが、話の流れ的に、強制的に生き残って
頂きました(爆)時と場合により、ウチの場合は種キャラ、
殺されたり、生きかえさせられたり、と都合よく書かれて
おります。げらげら o(^▽^)o げらげら
賛否両論、符合不一致な箇所も多々あろうかとは
思いますが、その辺は眼を瞑ってやってくださいませ。
しかし、今回のザラ、なんか黒いんだか白いんだか
訳解らんやっちゃな〜〜(・_・ヾペペーン マイッタネー